この記事の内容は、厚生労働省の指針の原文と消費者庁の考え方にあたって書いています。
最初に、いちばん大事なこと
ホームページは、いまも「原則として広告ではない」ままです。
ただし、リスティング広告やSNS投稿を1本出すと、その入口から見に行くホームページも一体で「広告」として扱われます。
つまり「HPは自由、チラシと看板だけ気をつける」という覚え方は、集客に力を入れているお店ほど当てはまりません。詳しくは 2章 に原文を引用しています。
1. まず「うちはどれか」を確かめる
同じ「体をみるお店」でも、かかる法律が違います。ここを取り違えたまま書き直すと、直す必要のないところを削って、危ないところが残ります。
| お店の種類 | 資格 | かかるもの |
接骨院・整骨院 (ほねつぎ) |
柔道整復師 (国家資格・保健所へ届出) |
柔道整復師法24条+あはき・柔整広告ガイドライン+景品表示法。広告できる事項が法律で決め打ちされていて、そこに無いものは書けません。 |
鍼灸院・マッサージ院 (あん摩・指圧を含む) |
はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師 (国家資格・届出) |
あはき法7条+同ガイドライン+景品表示法。考え方は接骨院とほぼ同じです。 |
整体院・カイロ・ リラクゼーション・もみほぐし |
国家資格の制度がありません (民間資格) |
景品表示法と医薬品医療機器等法(薬機法)66条は同じようにかかります。上の2つの法律は「直接あなたの店を名指しした規制」ではありませんが、安心はできません(下の注を必ずお読みください)。 |
整体・リラクゼーションの方へ:ここは誤解が多いところです。
- あはき法7条の条文は「あん摩業、マツサージ業、指圧業、はり業若しくはきゆう業又はこれらの施術所に関しては、何人も」という書き方です。「無資格だから対象外」とは書かれていません。実際にやっていることがマッサージ・指圧に当たると見られれば、対象になり得ます。
- 逆に、国家資格の接骨院・鍼灸院のほうは、店名に「整体」「リラクゼーション」「カイロプラクティック」を使えません(別の業態と紛らわしいため)。名前のルールが真逆に働くので、併設のお店はとくに注意が必要です。
- 景品表示法(大げさな表示・二重価格・ステマ)と薬機法66条(効果効能の広告)は、資格のあるなしに関係なくかかります。この記事の5つのうち、2・3・5番は整体院にもそのまま当てはまります。
2. ネット広告を1本出すと、ホームページごと「広告」になります
国の指針では、広告かどうかを次の3つで判断します。3つとも当てはまれば広告です。
広告の3条件(指針Ⅱの1)
- ① 利用者を施術所へ誘い込む意図があること(誘引性)
- ② 施術者の氏名か施術所の名前が特定できること(特定性)
- ③ 一般の人が認知できる状態にあること(認知性)
ホームページは「自分でURLを入れるか検索して初めて見るもの」なので、③の認知性を満たさない、というのがこれまでの整理でした。その整理自体は今回も維持されています。
「インターネット上の施術所等のウェブサイト等は、当該施術所等の情報を得ようとの目的を有する者が、自らURLを入力したり、検索サイトで検索した上で閲覧するものであるため、(中略)従来情報提供や広報として扱ってきた。これらについては、引き続き原則として広告とは見なさないこととする。」
(あはき・柔整広告ガイドライン Ⅱの6の(6))
問題はこの次です。指針のⅥには、こう書かれています。
「この場合、バナー広告等にリンクしている施術所等のウェブサイト等についても、バナー広告等と一体的な関係にあることによって一般人が容易に認知できる状態にあることから、(中略)広告として取り扱うこと。」
(同 Ⅵの1の(1)ア)
つまり、こういうことです
バナー広告、リスティング広告(検索したときに出るスポンサー枠)、お金を払って上位に出している検索結果、掲載料を払っている口コミ・ランキングサイト。このどれか1つでも出していれば、その入口から見に行くホームページも広告として扱われます。
SNSの投稿も同じです。公開範囲を限定していても、「見た人が反応して二次的・三次的に伝わる」という理由で、認知性を満たすと整理されています(Ⅵの1の(1)イ)。集客に力を入れているお店ほど、ホームページが規制の外にいる状態ではありません。
広告に当たらないホームページなら、何を書いてもよいのですか?
いいえ。指針は、広告に当たらないウェブサイトについても「掲載すべきでない事項」と「掲載すべき事項」を定め、自主的に守るよう促す形をとっています(Ⅵの1の(2))。法律の罰則が直ちに及ぶかどうかとは別に、ここに挙げられた表現は景品表示法でも問題になりやすいものが並んでいます。だから結局、直しておくのが早いです。
3. よく引っかかる言い方5つ
指針のⅥの4に、実際の文例が並んでいます。そこから、地域のお店で本当によく見かける順に5つ選びました。言い換えは、コピーしてそのまま使えます。
1効果・効能を書いてしまう
「腰痛が治ります」「根本改善」「〇〇に効きます」
× どこへ行っても治らなかった方、諦めないで当院へ/根本治療で改善します/たった1回で効果を実感/痛みのない骨盤矯正で驚きの効果
これは全部、指針がそのまま文例として挙げている表現です。効果に関することは、そもそも広告できる事項に入っていません。加えて、接骨院・鍼灸院では「施術者の技能、施術方法又は経歴」の広告が法律で明確に禁止されています(柔整師法24条2項/あはき法7条2項)。
指針Ⅵの4の(1)の例示:「治ります、元気・健康にします、根本治療、自信があります、〇〇を解決します、〇〇に効きます、〇〇の治癒率〇〇%、理想の体重に」「痛みのない骨盤矯正、痛くない独自の整体術で驚きの効果、安心安全・確かな技術」「絶対安全な施術です。絶対に治る施術。」
○ 当院は柔道整復師(国家資格)が施術を行います。はじめての方には、体の状態と、ご希望をうかがったうえで、どのような施術を行うかを先にご説明します。ご不明な点はお気軽にお尋ねください。
考え方:「治る」を消すのではなく、「誰が」「何をするか」に置きかえます。資格と、施術の進め方と、聞ける窓口。この3つは書いても問題にならず、しかも読む人がいちばん知りたいことです。
2順位・数字で自分を持ち上げる
「地域No.1」「口コミサイトで1位」「満足度98%」
× 口コミサイトで1位を獲得/〇〇市で選ばれている整骨院/顧客満足度No.1/改善率95%以上/〇〇にも掲載されました/芸能人の方も来院されています
指針は、「仮に事実であったとしても」掲載すべきでないと書いています。ここが景品表示法より厳しいところです。景品表示法のほうは「根拠があれば書ける」場合がありますが、その根拠は客観的な調査である必要があり、自店アンケートでは足りないことがほとんどです。
指針Ⅵの4の(2):「『日本一』、『No.1』、『最高』等、(中略)仮に事実であったとしても、優良性について利用者を誤認させ、不当に誘引するおそれがあるものであり、ウェブサイト等に掲載すべきでない」/同Ⅵの4の(1):「『〇%の満足度』『改善率〇%以上』『〇%の人が効果を実感』『たった1回で効果を実感』『顧客満足度No1』」
景品表示法5条1号(優良誤認表示)
○ 2015年の開院から、地域の皆さまに来ていただいています。現在は1日あたり20名前後の方にご来院いただいています。(※数字は必ずご自身のお店の実数に置きかえてください)
考え方:順位をやめて、事実に置きかえます。開院年、来院数、通っている方の層。他店と比べない数字なら、比較優良にはなりません。ただし数字そのものは正確に。盛った瞬間に別の問題になります。
3お客様の声とビフォーアフター写真
「3回でこんなに変わりました」+施術前後の写真
× 良い感想だけを選んで並べる/謝礼や割引と引きかえに書いてもらった声を載せる/撮影の角度・明るさ・姿勢を変えて撮った施術前後の写真/加工・修正した写真
3つの問題が重なります。①良い声だけを選んで強調すること自体が、指針で「掲載すべきでない」とされています。②撮影条件を変えた写真は誇大、加工した写真は虚偽として扱われます。③2023年10月からはステルスマーケティング規制が始まり、お店が関与した投稿なのに、それが分からない形で出すことが景品表示法5条3号の違反になります。
指針Ⅵの4の(3)の②③:「撮影条件や被写体の状態を変える等して撮影した施術前、施術後の写真等を(中略)その効果・有効性を強調することは(中略)内容が誇大なものとして取り扱うべき」「便益を与えるような感想等のみを意図的に取捨選択し掲載する等して強調することは(中略)掲載すべきでない」
景品表示法5条3号(2023年10月1日〜/いわゆるステマ規制)
○ 通っていただいている方から、こんなご質問をよくいただきます。「どのくらいの間隔で通えばよいですか?」——お体の状態によって変わりますので、初回に一緒に予定を立てます。無理に回数を決めることはありません。
考え方:「感想」ではなく「よくある質問」に置きかえます。不安を先に解いてあげるという役目は同じで、しかも規制にかかりません。どうしても声を載せたい場合は、良い声だけを選ばないこと、謝礼と引きかえにしないこと、お店が依頼した投稿なら「当院の依頼による投稿です」と分かる形にすることが必要です。
4店名・キャッチコピー・URLに効能が入っている
「〇〇骨盤矯正院」「小顔矯正サロン」「katakorinaoru.ne.jp」
×(接骨院・鍼灸院の店名として)〇〇堂/〇〇館/〇〇センター/ほぐし処/サロン〇〇接骨院/メディカル〇〇鍼灸院/〇〇治療室/骨盤矯正・小顔矯正・姿勢改善を含む名前/交通事故専門・むちうち専門/美容鍼灸・不妊鍼灸
ここはほとんどの方が知らないところです。指針は、店名について「広告可能な名称の例」と「広告不可な名称の例」を具体的に列挙しました。看板だけでなく、キャッチコピー・イラスト・ロゴ・ドメイン名まで対象です。電話番号の語呂合わせ(「3776=みな治る」)まで例示されています。
指針Ⅲの3の(2)②:広告不可な名称の例として「〇〇(施術業態を含まない)治療院、メディカル、クリニック、リハビリ、ドック」「カイロプラクティック、整体、リラクゼーション」「姿勢改善、小顔矯正、骨盤矯正」「〇〇堂、〇〇館、〇〇道場、〇〇センター、〇〇ステーション、サロン、ほぐし処、研究所」など/同Ⅱの3のエ:URLの例「www.katakorinaoru.ne.jp」
○ 広告できる名前の形は「業態+治療院(所)」です。たとえば「〇〇鍼灸治療院」「〇〇接骨院・鍼灸院」「〇〇施術所(院)」。業態が入らない「〇〇治療院」だけは不可とされているので、「鍼灸」「マッサージ」などを必ず入れます。
正直な補足:すでに何年も使っている店名を今すぐ変えるのは、現実には簡単ではありません。まず直すべきはキャッチコピーとURLと看板の追記部分です(費用も影響も小さい)。店名そのものは、保健所の窓口に一度ご相談されるのが確実です。指針は、行政がまず指導し、従わない場合や繰り返す場合に告発を検討する、という順序を定めています。
5「初回2,980円(通常6,000円)」の書き方
通常価格で売った実績がない二重価格
× 初回2,980円(通常6,000円)/今だけ半額/本日限り/回数券の総額だけ大きく出して、1回あたりや解約の条件を小さく書く
比較のために書く「通常価格」は、実際にその値段で売っていた実績が要ります。消費者庁の考え方では、セール開始からさかのぼる8週間のうち、その価格で売っていた期間が過半を占めていることがひとつの目安です。また、その価格で売った最後の日から2週間以上たっている場合は「最近相当期間にわたって販売されていた価格」とは認められません。開院と同時に「通常6,000円」と書いたなら、その6,000円は一度も存在していないことになります。
消費者庁「不当な価格表示についての景品表示法上の考え方」(平成12年6月30日公正取引委員会・平成14年12月5日改定)/景品表示法5条2号(有利誤認表示)
指針Ⅵの4の(4)は「早急な受療を過度にあおる表現又は費用の過度な強調」を掲載すべきでない事項としています。
○ はじめての方は、初回のみ2,980円でご案内しています(初回検査とご相談の時間を含みます)。2回目以降は1回4,400円です。回数券は6回22,000円で、有効期限は6か月、未使用分は残数に応じてご返金します。
考え方:「割引」をやめて「初回だけの内容」にします。比べる相手(通常価格)を出さなければ、二重価格になりません。しかも、2回目以降がいくらかを先に書くほうが、お客様は安心して来られます。金額は必ずご自身のお店の実額に置きかえてください。
4. 実は「書かないといけないこと」が3つあります
ここまでは「書いてはいけない」話でした。指針には、自費の施術をしているお店がホームページに載せるべき事項も書かれています。こちらを知っている同業者は、まだ多くありません。
自費施術のお店がウェブサイトに載せるべき3つ(指針Ⅵの3)
- ① 問い合わせ先——書いてある内容について、お客様がすぐ確認できるように。
- ② 施術の内容と、通常必要とされる費用——金額が決まらないものは、「最低金額から最高金額までの幅」で示すことが求められています。回数券やプリペイドカードを売るなら、その商品の内容と契約内容まで。
- ③ 主なリスク・副作用——標準的な費用、施術期間、回数も含めて、分かりやすく。
さらに、書き方の指定まであります。「リンクを貼った先のページへ掲載したり、利点・長所に関する情報と比べて極端に小さな文字で掲載したりといった形式を採用することは控えること」(指針Ⅵの3)。つまり、料金とリスクを小さい文字で下のほうに置くのは、それ自体が指摘の対象になり得ます。
これは、守るほど選ばれる項目です。料金の幅と、通う回数の目安と、起こり得ることが先に書いてあるお店は、それだけで信頼されます。規制に合わせることと、お客様に親切であることが、ここでは一致しています。
5. では、何なら書けるのか
法律で「これは書いてよい」と決まっている事項の一覧です。ここに無いものは、原則として広告できません。
接骨院・整骨院(柔道整復師法24条)
① 柔道整復師である旨、氏名、住所
② 施術所の名称、電話番号、所在の場所
③ 施術日または施術時間
④ 厚生労働大臣が指定する事項
・ほねつぎ(又は接骨)
・柔道整復師法19条1項前段の届出をした旨
・医療保険療養費支給申請ができる旨(脱臼・骨折の患部の施術に係る申請は、医師の同意が必要な旨を明示する場合に限る)
・予約に基づく施術の実施
・休日または夜間における施術の実施
・出張による施術の実施
・駐車設備に関する事項
鍼灸院・マッサージ院(あはき法7条)
① 施術者である旨、氏名、住所
② 業務の種類
③ 施術所の名称、電話番号、所在の場所
④ 施術日または施術時間
⑤ 厚生労働大臣が指定する事項
・もみりようじ/やいと、えつ/小児鍼(はり)
・あはき法9条の2第1項前段の届出をした旨
・医療保険療養費支給申請ができる旨(申請については医師の同意が必要な旨を明示する場合に限る)
・予約に基づく施術の実施
・休日または夜間における施術の実施
・出張による施術の実施
・駐車設備に関する事項
「思ったより書けない」と感じたはずです。だからこそ、書ける範囲を丁寧に書いたお店が目立ちます。
指針は、広告できる事項について「利用者の理解促進のために分かりやすい表現を使用したり、その説明を加えることは、望ましいことであり広告可能とする」とはっきり書いています(Ⅲの2の(2))。
たとえば「医療保険療養費支給申請ができる旨」は、「医療保険により利用者は施術費用の一部負担で施術を受けることができます」と言いかえてよい、という例が指針そのものに載っています。短く削るのではなく、書けることを分かりやすく厚くする。これが今できるいちばん現実的な打ち手です。
6. この記事にできないこと
- 違法かどうかを、この記事は決められません。最終的に判断するのは行政と裁判所です。ここに書いたのは「指摘を受けやすい形かどうか」までです。
- 指針は法律そのものではありません。広告に当たらないウェブサイトについては、指針は「関係団体等による自主的な取組を促す」という位置づけです(Ⅵの1の(2))。ただし、そこに並んでいる表現の多くは、景品表示法でも問題になり得ます。
- 整体院・リラクゼーションは、この指針が直接名指ししている対象ではありません。ただし1章に書いたとおり、条文が「何人も」となっていること、景品表示法と薬機法は等しくかかることから、「対象外だから自由」とは考えないほうが安全です。
- 個別の判断は、お住まいの保健所(施術所の届出先)が窓口です。指針は、都道府県等に苦情相談窓口を明確化するよう求めています。迷ったら、直す前に一度そこで確認するのがいちばん確実です。
- この記事は2026年8月1日時点の指針・ガイドラインに基づいています。更新されることがあります。
7. 出典(すべて一次情報)
この記事の引用は、次の原文にあたって書いています。孫引きはしていません。
罰則について:指針は、違反広告を見つけた場合、行政はまず指導で中止・是正を求め、従わない場合や繰り返す場合に告発を検討する、と定めています。罰則は30万円以下の罰金(あはき師法13条の8第1号または6号/柔道整復師法30条第5号または7号)です。