「永久脱毛」と書けない理由は、大げさな広告だからではありません。国の通知が「毛乳頭を破壊する行為」を、医師にしかできない行為だと書いているからです。つまり売り文句を1行足したせいで、お店が営業できている土台のほうが崩れます。原文から説明します。
同じシリーズに 接骨院・整骨院・鍼灸院の回と 整体・カイロ・リラクゼーションの回、歯科医院・美容クリニックの回があります。医師のいる医療脱毛は根拠になる法律が別です(そちらは歯科・美容クリニックの回へ)。迷う場合は 業種別ガイドの一覧 から選べます。
読んだあとの点検には 店内チェックシート10項目(印刷できます) をどうぞ。
最初に、いちばん大事なこと
エステ・脱毛サロンの広告でいちばん多い勘違いは、「どこまで盛ってよいか」という問題だと思ってしまうことです。
実際にはもう一段前に、「その言葉を書いた時点で、自分がどの法律の対象になるか」という問題があります。
「永久脱毛」と書けば医師法の側へ、「シミが消える」と書けば効果の裏づけを求められる側へ、「痩身12回コース55,000円」と書けば契約のルールが1セット増える側へ、自分から入っていきます。禁止ワードを暗記するより、この構造を1回つかむほうが早く、あとで自分の身を守ります。
同じ「きれいになるお店」でも、免許のある人がやっているかどうかで、かかる法律がまったく違います。ここを間違えると、あとの話が全部ずれます。
| お店の種類 | 資格 | 広告で軸になる法律 |
|---|---|---|
| 美容皮膚科・美容外科などの医療機関(医療脱毛・注入・レーザー治療) | 医師・看護師 | 医療法の広告規制と医療広告ガイドライン。体験談は原則禁止、術前術後の写真にも条件があります。この記事の対象ではありません。 |
| エステサロン・脱毛サロン・痩身サロン・フェイシャルサロン(光脱毛/フラッシュ脱毛・痩身・美肌) | 国家資格はありません(民間の認定はあります) | この記事の対象です。医師法第17条・景品表示法・特定商取引法・薬機法 |
| 整体院・カイロ・リラクゼーション・もみほぐし | 国家資格はありません | あはき法第12条ほか(→ こちらの記事) |
注意したいのは、まん中と一番上をまたいでいるお店です。「提携クリニックあり」「医療脱毛も選べます」と書いているサロンは、書き方によって医療機関の広告のルールまで一緒にかぶります。この記事の5つに加えて、医療広告ガイドラインの確認が要ります。
「永久脱毛と書いてはいけない」——これは知っている方が多いです。ただ、理由を「大げさな広告だから」と覚えていると、言い換えを間違えます。「ほぼ永久」「半永久」「二度と生えてきません」など、意味が同じで表現だけ弱い言葉に逃げてしまうからです。
本当の理由は、こちらです。
ここから、実務で効く結論が3つ出ます。
令和7年8月15日の厚生労働省通知「美容医療に関する取扱いについて」(医政発0815第21号)は、無資格者が業として行えば医師法第17条に違反する行為として、平成13年の医政医発第105号で示した脱毛行為等を、そのまま引いています。2001年の通知が2025年の通知で名指しで維持されている、ということです。
罰則は医師法第31条=3年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、またはその両方。医師またはこれに類似した名称を用いていた場合は罰金が200万円以下に上がります(同条第2項)。
サロンのホームページ・チラシ・ポータルサイトの店舗紹介文で、実際によく見かける順に並べます。それぞれ言い換えの案をコピーできる形で付けています。
1医師法 第17条/厚生労働省 平成13年11月8日 医政医発第105号・令和7年8月15日 医政発0815第21号
「永久脱毛」「二度と生えません」「毛根を破壊します」
2章のとおりです。毛乳頭・皮脂腺開口部を破壊する行為は医師法第17条の対象で、破壊していないことがサロンの土台です。「医療脱毛と同じ効果」も、同じ結果になる=同じ行為をしていると読める書き方なので、同列に危ないと考えてください。店名・メニュー名・ページタイトル・広告の見出し・画像の代替テキスト・地図サービスの店舗説明まで、全部そろえて直します。本文だけ直しても、店名に残っていれば意味がありません。
出典:医師法 第17条・第31条/厚生労働省 平成13年11月8日 医政医発第105号/同 令和7年8月15日 医政発0815第21号
2景品表示法 第5条第1号(優良誤認)/第7条第2項(合理的な根拠の提出)
ビフォーアフター写真・お客さまの声で、効果をうたう
効果や性能をうたう表示は、求められたときに合理的な根拠の資料を出せなければ、優良誤認として扱われます(景品表示法 第7条第2項。提出には期限があり、出せない場合は不当表示とみなされます)。
ここで押さえてほしいのは「お客さまの声だから、うちが言っているわけではない」は通らないことです。掲載した時点で、お店の表示です。「効果には個人差があります」を小さく添えても打ち消しにはなりません。大きい文字の言い切りのほうが読まれるからです。
写真は特に強く伝わります。照明・角度・時間帯・むくみで見え方が変わるぶん、「その変化が施術のおかげだ」と示す資料を用意できるかを先に考えてください。
出典:景品表示法 第5条第1号・第7条第2項
3景品表示法 第5条第2号(有利誤認)/二重価格表示
「初回100円」「今だけ半額」「通い放題」の条件が、小さく書いてある
いま、この業種でいちばん実際に処分が出ている型です。消費者庁は令和8年3月25日、エステティックサロンの運営事業者3社に対し、景品表示法にもとづく措置命令を行っています(違反の類型は有利誤認=第5条第2号)。
比較のために書く「通常価格」は、実際にその値段で売っていた実績が要ります。消費者庁の考え方では、セール開始からさかのぼる8週間のうちその価格で売っていた期間が過半を占めていることがひとつの目安で、その価格で売った最後の日から2週間以上たっていると「最近相当期間にわたって販売されていた価格」とは認められません。開店と同時に「通常30,000円」と書いたなら、その30,000円は一度も存在していないことになります。
「通い放題」も同じです。予約の取りやすさ・期間・部位・1回に照射できる範囲に上限があるなら、それは「放題」ではありません。
出典:景品表示法 第5条第2号/消費者庁「不当な価格表示についての景品表示法上の考え方」/消費者庁 令和8年3月25日 措置命令(エステティックサロン運営事業者3社)
4薬機法 第66条(誇大広告等の禁止)/景品表示法 第5条第1号
「シミが消える」「バストアップ」「痩せる」——ただし、引っかかる先を間違えやすい
ここは、多くの解説がまとめて「薬機法違反」と書いていますが、正確にはもう少し細かいです。薬機法が広告を規制しているのは医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器で、エステの施術そのものは、薬機法が直接の対象にしているものではありません。
分けるとこうなります。
・お店で売る/使う化粧品や機器の効能をうたう →薬機法(化粧品として認められた効能の範囲を超えると第66条の誇大広告)
・施術の効果をうたう →景品表示法(2番と同じ。合理的な根拠が要る)
どちらに転んでも、裏づけを出せない効果は書けないという結論は変わりません。ただ、指摘が来たときにどの法律の話をされているか分かることが、対応の速さを決めます。
出典:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)第66条/景品表示法 第5条第1号
5特定商取引法(特定継続的役務提供)/同 第48条・第49条
「解約・返金は一切できません」「今日ご契約なら◯円」
エステ・脱毛のコース契約は、1か月を超え、5万円を超えると特定商取引法の「特定継続的役務提供」に当たります。当たると、広告の話ではなく契約そのもののルールが1セット増えます(詳しくは次の4章)。
大事なのは、「返金しません」とホームページや契約書に書いてあっても、法律で決まった中途解約の権利は消えないことです。書いてあること自体が、あとで大きな揉めごとの火種になります。
「今日決めたら安くします」も、その場で決めさせる圧力として見られます。特定商取引法には、顧客の知識や財産の状況に照らして不適当な勧誘をしてはならないという考え方(適合性の原則)もあり、この業種では実際に行政処分の理由になっています。
出典:特定商取引法 第48条(クーリング・オフ)・第49条(中途解約)/消費者庁「特定継続的役務提供」
特定商取引法の「特定継続的役務提供」に当たると、広告の話ではなく、契約そのもののルールが増えます。知らずに売っていると、あとから全額に近い返金の話になります。まず、当たるかどうかの2条件です。
| 役務 | 期間 | 金額 |
|---|---|---|
| エステティック | 1か月を超える | 5万円を超える |
| 美容医療 | 1か月を超える | 5万円を超える |
| 語学教室・家庭教師・学習塾・パソコン教室・結婚相手紹介 | 2か月を超える | 5万円を超える |
消費者庁の説明では、エステティックは「人の皮膚を清潔にし若しくは美化し、体型を整え、又は体重を減ずるための施術を行うこと(いわゆる美容医療に該当するものを除く)」と定義されていて、「脱毛」という言葉そのものでは書かれていません。ただし、あわせてクーリング・オフの対象になる「関連商品」として脱毛器が挙げられています。
そのため、脱毛サロンのコース契約は、通常この定義に入ると考えて準備しておくのが安全です。ここは記事で言い切らず、個別の判断は消費生活センターや弁護士へご確認ください、と正直に書いておきます。
当たる場合、増えるルールはこの4つです。
ここまでの話は、一般論ではありません。つい先日、同じ業種で実際に行政処分が出ています。
エステティックサロンの運営事業者3社に対し、景品表示法に基づく措置命令が出されました(命令は3月25日)。
根拠は景品表示法 第5条第2号(有利誤認)、命令は同法 第7条第1項に基づくものです。
期限つきのクーポンを、期限が過ぎても同じ条件で出し続けていたことです。
| 実際に出ていた表示(2例) | 期限のあと、どうだったか |
|---|---|
| 「有効期限:2024年12月末日まで」と書いたうえで 「24,200円 → 5,500円」 |
期限を過ぎて申し込んでも、 期限内とまったく同じ 割引価格で受けられました |
| 「今だけ70%OFF」「有効期限:2024年12月25日まで」と書いたうえで 「5,000円 → 1,500円」 |
掲載先はホットペッパービューティーのクーポンページです。多くのサロンさんが使っている、あの画面です。
ここが怖いところです。
書いてある価格は本当に提供されていました。嘘の値段ではありません。
それでも処分されたのは、「今だけ」と言いながら、ずっと今だけだったからです。
「期限を切って急がせる」こと自体は問題ありません。問題はその期限を守らないことです。
今日できる確認は1つだけです。
掲載中のクーポンの「有効期限」を見て、その日を過ぎたあと、同じ内容で出し直していないか。
出し直しているなら、期限を書かないか、期限が来たら本当に終えるか、どちらかにしてください。
「期間限定」を続けたい場合は、内容か価格を実際に変えることです。同じものを同じ値段で出し続けるなら、それは通常価格です。
出典:消費者庁「エステティックサロンの運営事業者3社に対する景品表示法に基づく措置命令について」(令和8年3月26日発表・報道発表資料の原文を確認)
※本記事では事業者名は記載していません。制度の理解に必要な事実のみを扱っています。
ここまでは「消す」話でした。消しただけだと、ページはただ薄くなります。この業種でいちばん効くのは、みんなが書いていないことを書くことです。3つあります。
隠すと「ごまかしている」と思われます。出力・回数の目安・痛みの感じ方・料金・通う期間を表で並べて、「うちは美容脱毛です」と先に言い切る。比べられて負けるのが怖い項目ほど、先に自分で書いたほうが信用されます。
コース総額・回数・1回あたり・追加料金(シェービング代、キャンセル料、麻酔や化粧品などの別売り)・支払い方法・途中でやめたときの精算方法まで。「詳しくはお問い合わせください」は、この業種でいちばん多い離脱の理由です。
日焼けの直後、光線過敏症の方、妊娠中の方、特定のお薬を飲んでいる方、ほくろ・タトゥーのある部位、当日の飲酒や激しい運動。断る基準を先に書いてあるお店は、かえって信頼されます。2章で見たとおり、この業種の土台は「安全に行える範囲でやっている」ことそのものです。
__の部分をお店の数字に置き換えてください。金額は税込で、追加料金の有無まで書き切るのがコツです。
この記事の引用は、次の原文にあたって書いています。孫引きはしていません。
罰則について:医師法第17条に違反すると、第31条により3年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、またはその両方(医師またはこれに類似した名称を用いていた場合は、罰金が200万円以下)。景品表示法の措置命令に従わない場合や、課徴金の対象になる場合もあります。実務では、まず消費生活センターへの相談や、保健所・消費者庁からの照会という形で来ることが多いです。
① いまの文章を1回、機械にかけてみる。お店のホームページやチラシの文章を貼るだけで、引っかかりやすい言い方をその場で出す道具を無料で置いています。貼った文章はブラウザの中だけで判定するので、どこにも送られません。会員登録もありません。
広告表現セルフチェックを開く(無料)② 直したあとに、伝わるページにする。削るだけでは予約は増えません。5章の3つ(医療脱毛との違い・お金と時間の全部・受けられない方)を、迷わず読める形に組み直す。私たちがつくっているのはそこです。
LP制作 スタンダード ¥39,800(税込・修正2回・最短5営業日)/簡易版のライト ¥11,980 もあります。写真がなくてもこちらで用意できます。
料金と制作の流れを見る同じシリーズは全4本あります。脱毛でも、医療脱毛のクリニックは根拠になる法律が別(医療広告等ガイドライン)です。令和8年3月30日の改正に対応した記事を分けて置いています。
歯科医院・美容クリニック版を読む 接骨院・整骨院・鍼灸院版を読む 整体・カイロ・リラクゼーション版を読む