整体・カイロ・リラクゼーションの広告で、
よく引っかかる言い方5つ

「資格がいらない業種だから、書き方も自由」——ここが、いちばん危ないところです。国の通知は「自由」とは書いていません。「人の健康に害を及ぼす虞のあるものに限って禁止する」と書いています。この差を、原文から説明します。

出典は法律の条文、最高裁の判決を受けた厚生省の通知、消費者庁の考え方です。ページの最後に原文のURLをそのまま置いています。
サロンの棚の前でスマートフォンから自店のホームページを確認している手元。見出し「「自由」ではなく、線が引かれています/整体院・カイロ・リラクゼーション/「健康に害を及ぼす虞」——国の通知を、原文から」
この記事の内容は、あはき法の条文と、最高裁判決を受けた昭和35年3月30日の国の通知、消費者庁の考え方にあたって書いています。
この記事の中身
  1. まず「うちはどれか」を確かめる(3つに分かれます)
  2. いちばん誤解が多い1点:整体は「自由」ではなく「危なくない範囲でだけ、取り締まられていない」
  3. よく引っかかる言い方5つ(言い換え付き)
  4. 回数券・コースを売っているお店は、ここだけ先に読んでください
  5. 法律で決められた記載義務が少ない業種ほど、書くと選ばれます(3つ)
  6. この記事にできないこと(正直に書きます)
  7. 出典(すべて一次情報)
最初に、いちばん大事なこと
整体・カイロ・リラクゼーションには、接骨院や鍼灸院のような「広告できる事項の一覧」がありません。
そのかわり、書いた言葉によって、自分がどの法律の対象になるかが変わります。

「マッサージ」と書けば、あん摩マッサージ指圧師の免許が要る業のことを言っている、と読まれます。「治療」「治す」と書けば、医業類似行為の側へ自分から寄っていきます。「痩身」「脱毛」と書けば、特定商取引法の対象になり得ます。禁止されている表現の一覧を覚えるより、この構造を1回つかむほうが早いです。

1. まず「うちはどれか」を確かめる

同じ「体をほぐすお店」でも、看板に出している名前で、かかる法律がまったく違います。まずここを間違えると、あとの話が全部ずれます。

お店の種類資格広告で軸になる法律
接骨院・整骨院・鍼灸院・あん摩マッサージ指圧の施術所 国家資格(柔道整復師/はり師・きゅう師/あん摩マッサージ指圧師) あはき法・柔道整復師法。「広告してよい事項」が国の指針で決まっています(→ こちらの記事
整体院・カイロプラクティック・リラクゼーション・もみほぐし・ストレッチ専門店 国家資格はありません(民間の認定はあります) この記事の対象です。あはき法12条(医業類似行為)・景品表示法・特定商取引法
痩身・脱毛・美肌などを一緒に出しているお店 同上 上に加えて特定商取引法の「特定継続的役務提供」(→ 4章

この記事は、まん中の行——国家資格を前提にしていないお店——に向けて書いています。

2. いちばん誤解が多い1点

「整体は法律で決まっていないから自由」と説明しているページが、たくさんあります。半分だけ当たっています。条文は、むしろ禁止から始まっています。

あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律 第12条
「何人も、第一条に掲げるものを除く外、医業類似行為を業としてはならない。」

文字どおり読むと、免許のある行為以外の「医業類似行為」は、誰であっても業としてはいけない、と書いてあります。では、なぜ整体院やカイロプラクティックが営業できているのか。ここに、昭和35年の最高裁の判決があります。

最高裁 昭和35年1月27日 大法廷判決(HS式無熱高周波療法事件)

この判決を受けて、当時の厚生省が全国の都道府県へ出した通知が、いまも取扱いの土台になっています。

厚生省 昭和35年3月30日 医発第247号の1「いわゆる無届医業類似行為業に関する最高裁判所の判決について」
——禁止・処罰の対象となるのは、人の健康に害を及ぼす虞のある業務行為に限られる。取締りにあたっては、その施術が人の健康に害を及ぼす虞があることの認定が必要である。

※通知の趣旨をまとめた表現です。原文のURLは 7章 に置いています。

ここから、実務で効く結論が2つ出ます。

3. よく引っかかる言い方5つ

ホームページ・チラシ・ポータルサイトの店舗紹介文で、実際によく見かける順に並べます。それぞれ「言い換えの案」をコピーできる形で付けています。

1あはき法 第1条・第12条/罰則=第13条の7(50万円以下の罰金)

「マッサージ」と書く
引っかかりやすい例:「全身マッサージ60分 5,500円」「マッサージ店」「リンパマッサージ」

あはき法 第1条は、医師以外の人が「あん摩、マツサージ若しくは指圧、はり又はきゆう」を業とするには、それぞれの免許が要ると定めています。つまり「マッサージ」は、法律の中に定義のある、免許のいる業の名前です。免許を前提にしていないお店がこの言葉を看板やメニューに出すと、免許が必要な業を行っている旨の表示と読まれる余地が残ります。罰則は50万円以下の罰金(第13条の7)。実務では、まず保健所からの指導という形で来ます。

言い換えの案:「もみほぐし」「ボディケア」「リラクゼーション」「ストレッチ」「オイルトリートメント」。施術の中身は変えずに、名前だけを正確にします。

出典:あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律 第1条・第12条・第13条の7
※法律の名前は原文どおり「マツサージ」「きゆう」と書かれています(こちらの誤字ではありません)。

2景品表示法 第5条第1号(優良誤認)/あはき法 第12条

「治療」「治る」「根本改善」「◯◯が消えます」
引っかかりやすい例:「腰痛を根本から治療します」「ヘルニアが改善」「自律神経の乱れが整います」「肩こりが治らない方へ、当院の施術で改善」

2つの向きから同時に問題になります。ひとつは2章の話——「治療」と書くことは、自分の行為を医療・医業類似行為の側に置く説明になります。もうひとつが景品表示法です。効果をうたう表示は、求められたときに合理的な根拠を出せなければ、優良誤認として扱われます。お店の実感や、施術者の経験談は根拠になりません。「効果には個人差があります」と小さく添えても、打ち消しにはなりません。本文の強い言い切りのほうが読まれるからです。

言い換えの案:効果ではなく「やること」と「事実」を書きます。「デスクワークで固まりやすい肩甲骨まわりを、40分かけてほぐします」「初回はカウンセリング15分+施術45分です」「通う目安をご案内しますが、続けるかどうかはその都度お決めください」

出典:景品表示法 第5条第1号/あはき法 第12条
※「効果には個人差があります」が打ち消しにならない点は、この記事では条文からの説明にとどめています(消費者庁の打消し表示の調査報告書は、今回は原文にあたっていないため引用していません)。

3景品表示法 第5条第1号(優良誤認)

「国家資格保有者在籍」「◯◯協会認定」を、あいまいに書く
引っかかりやすい例:「資格を持ったスタッフが対応」「国家資格レベルの技術」「日本◯◯協会認定 整体師」

整体師・カイロプラクター・セラピストに国家資格はありません。民間団体の認定を、国の資格のように見せる書き方は優良誤認になり得ます。ここは、隠すより正確に書くほうが強いです。もし本当に有資格者がいるなら(例:あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、理学療法士)、資格の正式名称と、その人が何を担当するかまで書けます。それは事実だからです。

言い換えの案:「代表は柔道整復師(国家資格)です。カウンセリングを担当します」「スタッフは日本◯◯協会の認定コース(120時間)を修了しています。民間の認定です

出典:景品表示法 第5条第1号

4景品表示法 第5条第2号(有利誤認)/二重価格表示

「通常8,000円 → 初回2,980円」
引っかかりやすい例:開店と同時に出した「通常8,000円」/ずっと出しっぱなしの「今だけ半額」/根拠のない「地域最安」

比較のために書く「通常価格」は、実際にその値段で売っていた実績が要ります。消費者庁の考え方では、セール開始からさかのぼる8週間のうち、その価格で売っていた期間が過半を占めていることがひとつの目安です。また、その価格で売った最後の日から2週間以上たっている場合は「最近相当期間にわたって販売されていた価格」とは認められません。開店と同時に「通常8,000円」と書いたなら、その8,000円は一度も存在していないことになります。

言い換えの案:「初回のみ 2,980円(2回目以降 5,500円)」——比較の相手をこれから実際に払う金額にすれば、実績の話になりません。「初回限定・お一人さま1回」と条件も同じ大きさで書きます。

出典:消費者庁「不当な価格表示についての景品表示法上の考え方」/景品表示法 第5条第2号

5特定商取引法(特定継続的役務提供)/景品表示法

「12回コース 55,000円」「回数券は返金できません」
引っかかりやすい例:「回数券の払い戻しは一切いたしかねます」「有効期限を過ぎた分は無効です」を、条件の説明なしに書く

ここは、お店によって答えが変わります。整体・もみほぐしそのものは、特定商取引法が対象として並べている7つの役務(エステティック/美容医療/語学教室/家庭教師/学習塾/パソコン教室/結婚相手紹介)にそのままの名前では入っていません。ただし「エステティック」は人の皮膚を清潔にし若しくは美化し、体型を整え、又は体重を減ずるための施術と定義されているため、痩身・小顔・脱毛・美肌をうたった時点で、この定義に入る可能性が出てきます。詳しくは次の4章に分けました。

いま書き換えるなら:「回数券は有効期限内は返金できません」ではなく、「途中でやめられます。残り回数分は、規定に沿ってご返金します」と書けるお店が強いです。返金しない、と言い切るほど、あとで揉めます。

出典:特定商取引法 第41条(対象となる役務・期間・金額)/消費者庁 特定商取引法ガイド

4. 回数券・コースを売っているお店は、ここだけ先に読んでください

特定商取引法の「特定継続的役務提供」に当たると、広告の話ではなく、契約そのもののルールが増えます。知らずに売っていると、あとから全額に近い返金の話になります。まず、当たるかどうかの2条件です。

役務期間金額
エステティック1月を超える5万円を超える
美容医療1月を超える5万円を超える
語学教室・家庭教師・学習塾・パソコン教室・結婚相手紹介2月を超える5万円を超える
整体・もみほぐしのお店が気をつける点は、ここです。

逆にいえば、痩身・美容をうたわずに「体をほぐす」で通しているお店は、この重い義務の外にいます。集客のために「◯cm減」と書き足すことは、売り文句を1行増やすのと引き換えに、契約のルールを丸ごと1セット背負うことだと知ったうえで決めてください。ここは、法律の話というより経営の判断です。

5. 法律で決められた記載義務が少ない業種ほど、書くと選ばれます

接骨院や鍼灸院には「ホームページに書かなければならない項目」が国の指針で決められています。整体・リラクゼーションには、そういう一覧がありません。つまり、書いても書かなくても怒られません。だからこそ、書いてあるお店が目立ちます。

削るだけで終わらせず、この3つを足してください。

そのまま貼って使える下書き(コピーできます)

6. この記事にできないこと

7. 出典(すべて一次情報)

この記事の引用は、次の原文にあたって書いています。孫引きはしていません。

罰則について:あはき法 第13条の7 は50万円以下の罰金(第1条の無免許、第12条違反ほか)、第13条の8 は30万円以下の罰金(広告の制限違反ほか)です。ただし2章のとおり、無届の医業類似行為業については、人の健康に害を及ぼす虞があることの認定が前提とされています。実務では、まず保健所からの指導という形で来ます。

次にやることは、2つだけです

① いまの文章を1回、機械にかけてみる。お店のホームページやチラシの文章を貼るだけで、引っかかりやすい言い方をその場で出す道具を無料で置いています。貼った文章はブラウザの中だけで判定するので、どこにも送られません。会員登録もありません。

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② 直したあとに、伝わるページにする。削るだけでは集客は増えません。5章の3つ(誰が・いくらで・どんな人は受けられないか)を、迷わず読める形に組み直す。私たちがつくっているのはそこです。

LP制作 スタンダード ¥39,800(税込・修正2回・最短5営業日)/簡易版のライト ¥11,980 もあります。写真がなくてもこちらで用意できます。

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同じシリーズは全4本あります。業種が違うと、根拠になる法律も、引っかかる言い方も変わります。

接骨院・整骨院・鍼灸院版を読む エステ・脱毛サロン版を読む 歯科医院・美容クリニック版を読む(令和8年3月30日の改正に対応)

どれが自分の業種か迷う場合(資格を持っている、脱毛もやっている、など)は、一覧から選べます。

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